ライフ・オブ・パイ専用ザク格納庫

映画ライフオブパイの超長編ネタバレ/その他映画のレビュー/あと気がむいたときに羽生くんを応援

ライフ・オブ・パイ

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●オープニング・テンプレ●●●●●●●●●●●●●●●●●●
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このブログは映画『ライフ・オブ・パイ』の、激ネタバレ レビューです。
映画をまだ観ていない方はご遠慮ください。
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すでに作品を鑑賞済みの方は、
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↓スタート
2013年10月30日→http://d.hatena.ne.jp/chap-chap3/20131030
2013年10月31日→http://d.hatena.ne.jp/chap-chap3/20131031
2013年11月01日→http://d.hatena.ne.jp/chap-chap3/20131101
2014年01月25日→http://d.hatena.ne.jp/chap-chap3/20140125

…以下、カレンダーか記事の一覧から
2014年4月〜 の順にお進みください。.
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昨年11月08日21時頃、えらくショッキングな出来事がありまして、も〜 今まさに歴史的悲劇をまのあたりにしているのかと膝ガクガク心臓バクバクでなんも手につかなくなりました。
いや、シーズン前にレビューの決着つけられなかったワタシが悪いんですけど。
(絶対に言い訳しない人を言い訳に使うとか最低やな自分)
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冬季シーズンはまったくの役立たずになってしまうのが2年続けて証明されましたので、今後は大事なことは秋口までにすませて、んで冬季は全力応援しようと思います。
すいませんでした。

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ほんで今回ちょっとクドいです。
つか いつにもましてクドい。
前回動揺のあまり、バナナの件、早々に切り上げてうpしてしまったので、言葉足らずだった気がして、書き直そうか追記の形を取ろうか、迷ったあげく、このクドさ。
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※【どーでもいいバナナ】からの続き
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1回目観たときは、なんでパイはバナナを回収しないんだろう、というのが疑問でした。
食べきれなくて腐らせてしまったとしても、蜜柑汁の分も併せて20本ぐらいはボートに乗せればいいのに…ああもったいない って、思いませんでした? 
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今となればそれも納得できる。
227日間の漂流初日、ボートの周囲に、漂流物としてのバナナなんか接近してこなかったんですよ。誰も乗ってこなかったし、だから食料として執着のしようがない。
謎解きの決め手のように見せかけて、最初っから有り得ない。
そんなバナナ。
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そしてパイが食料としてのバナナに執着しないことに気を取られて、バナナのスピードアップが不自然だとはすぐには見抜けなかった私なのですが、
バナナ&蜜柑汁がボートに接近する場面、ボートは揺れに揺れています。映画レビューサイトの投稿にも、「(観てるだけで)船酔いした」という意見がちらほらありましたが、あの揺れは漂流の臨場感を出すため、のように見せかけて、実は、バナナ&蜜柑汁のスピードアップから観客の意識をそらすための揺れなんだと思います。
前述のように、ただプカプカ浮いているだけのバナナがボートに追いつくわけがないんで。
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逆なら辻褄が合いますけどね。
前方に蜜柑汁とバナナが漂っているのが見えてきて、パイのボートがそれに追いついて、で、蜜柑汁がパイの箱船の住人になる、という描写ならね。
単純に少年の冒険ストーリーを撮るつもりなら、そつなく現場で修正が入ったはず。簡単に。
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けれど、(しつこく繰り返してますが)、パイのフィクションだってことをわからせるために、矛盾した、変な、有り得ない描写を沢山ちりばめているんです。
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で、自然科学上有り得ないシーンや、常識的に考えて矛盾した行動・心理状態 は、「現実はこうじゃなかったはず」と再考し、漂流の真相を推理する。
推理できるように作られている、ということです。
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スクリーン上の描写を一切無視して、好き勝手な空想の二次創作を展開するのとは違うんです。前もってアン・リーとデビッド・マギーが準備した裏台本の推理。
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………やっぱクドいっすかね。
最初の方に書いたこと忘れちゃってる人もいるかも、と思って つい………
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【変なシーン あれこれ追記
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ヒントとしてちりばめられてある“変なシーン”。
何度も見直し、再考すればだんだんに見えてくるんですけど、1回目、素直に冒険ファンタジーだと思って観ていると、なかなか気づかないもんです。
人喰い島のあたりで急に作りものっぽく見える画像が多くなってきて、???、と思わせるシカケ。
スクリーンの向こうから「いい加減 パイの創作話だって気付いてよ〜」って、監督はじめスタッフ一同が笑いかけているようです。
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たとえば、島ではリチャパの動きが、急に虎っぽくなくなる。
ミーアキャットを補食するときの動きは『ジュラシックパーク』で、Tレックスが草食竜を喰らうときの動きにそっくり。(初見、ミーアキャットの大群がコンピーに見えて怖かった)
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虎はあんな風に、立ってる獲物の首にいきなりかぶりついて頭を振ったりしないもの。まず前足で叩き伏せて(猛虎一撃退!)地面に押さえつけてから口をつけるでしょ。
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あと、島の池ははっきり確認できるだけでも6〜7コはあります。楕円がほとんど線のように見える遠くのものもふくめると8コぐらいあるかな。島を母親だと勘違いして、池は胃袋とか子宮だという意見も目にしましたが、牛の胃袋じゃあるまいし、そんなにたくさんあってどうするの。
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島の遠景は、決定的に作りものっぽく撮ってあるし。
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でも、島のシーンから唐突にフィクションになるわけじゃなくて、どんどん時をさかのぼって変なシーンをたどると、「マニラを出て4日目…」にたどり着く。
この映画の謎を解くには、初めから終わりまでだけでなく、終わりから始めまでをたどることが必要なんです。
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嵐の後ぐったりしたリチャパが妙に人間ぽくて、中に人がはいってるみたいだ、とか。
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鯨が飛び出す夜光の海のシーンは?
映画の興行的にはスペクタクルの見せ場。
『虎の話』の作者パイの意図は、食料が早々に底をついたことの辻褄あわせ。(実際には複数の人間で食料を消費したから)
それと、猛獣と本気で対峙する理由付け。鯨のせいで食料が全滅→飢えに追いつめられて、虎をもビビらす迫力を発揮。となるわけです。
実際に父と漂流した期間に鯨のダイブがあったかは、私は疑問に思います。
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消えるハイエナやライトアップ沈没船についてはもう書きましたので、
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嵐の甲板で、シマウマのダイブ→コックが退場→パイとシマウマを乗せた救命ボートが着水→ジェットコースターみたいにギュインギュイン荒波にもまれるシーン。
ボートが裏返って、さらに表返って、一回転してますけど、人間と違ってシマウマはボートにしがみつけないもの、ポジションキープできずに海中に投げ出されると思います。ほんとならね。
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それと、リチャパがボートにやってきたので、パイは海中に逃げて、沈没船をみて、で、鮫がカバとかに食らいついてて、ヤバイと思って浮上して、で、都合よくボートは2〜3m先に待機。泳いでボートに帰還するんですけど、これも現実には無理じゃないかなー。
着水直後のあのジェットコースターから一転して、ボートがお行儀よく待っててくれるんだもんなー。
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単純に“冒険映画のお約束”であるならば、揚げ足取りは野暮ってもんですが、私はこれも
『虎の話』はパイのフィクションだと強調するための“変なシーン”
の 一つだと思います。
あんな大荒れの海でボートから離れたら、もうそれっきりじゃないの? パワフルスイマーなら泳いでボートに戻れるの? ベテランの漁師さんや海難救助のプロのご意見を是非伺ってみたいものです。
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それと、リチャパが防水布の感触を嫌って、船首のパイを追ってこないという設定もホントはおかしいんですよね。猫を飼ってる人なら誰でもご存じでしょう。嫌がるどころか大喜びでジーンズやキャンパス地をバリョバリョいたしますわ。
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あと、蜜柑汁が波の彼方からやってきてボートに乗り移るあいだ、ハイエナが邪魔しない点も。ロボット合体モノのアニメで、メカ同士が合体変形している最中には敵は決して攻撃しないで待っているのと同じですね。ハイエナも防水布の上にはあがってこないしね。
パイの“安全地帯”を確保して、肉食獣が奇襲をかけてこないように“ルール”を定めておかないと、『虎の話』は成立しませんからね。
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あと、動物の死体が腐らない、蛆が湧かない
(ほっといたらドロドロに腐って溶けて、肉食獣だって食べる気なくす)。ボート一杯のトビウオの、食べ残しのお掃除は?とか、パイに髭が生えないとか。
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こういう“変なシーン”が何故配置されているのか理解されないまま、酷評の口実にされるのを百も承知で、それでも沈黙を守っているアン・リー監督やデビッド・マギーはいい度胸だなと思います。百年単位の仕事をする男たちは肝がすわってるぜ。
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で、時をさかのぼってたどり着く“変なシーン”第1号が、嵐の夜に熟睡するサントッシュ なんです。
(ホントはその前の虎の檻の鉄格子のシーンがあるんだけど、インドを出航してからの変なシーン第1号ってことで)
映画と原作を混同してる人や、漂流前の家族描写を「退屈」「寝た」「このシーンいらん」とか、自らの目を塞いでいる人にはわかりっこ無いし、保険屋さんやライターはサントッシュとは一面識もないですから、嵐の当夜、父さんは熟睡していて逃げ遅れた、と言われれば、素直に鵜呑みにしてしまうでしょうが、映画の描写をきちんと観て、サントッシュの人となり、というものを考えれば、熟睡の描写は受け入れがたいものなんです。
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つづく
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