ライフ・オブ・パイ専用ザク格納庫

映画ライフオブパイの超長編ネタバレ/その他映画のレビュー/あと気がむいたときに羽生くんを応援

ライフ・オブ・パイ

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このブログは映画『ライフ・オブ・パイ』の、激ネタバレ レビューです。
映画をまだ観ていない方はご遠慮ください。
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すでに作品を鑑賞済みの方は、
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↓スタート
2013年10月30日→http://d.hatena.ne.jp/chap-chap3/20131030
2013年10月31日→http://d.hatena.ne.jp/chap-chap3/20131031
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…以下、カレンダーか記事の一覧から
2014年4月〜 の順にお進みください。.
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【アーナンディ】
私の勝手な深読みでなく、映画のライフ・オブ・パイには、縦横無尽、だまし絵のように、いたるところに親子関係のモチーフがたくさんあります。
で、ここからは確信犯の脱線なのですが、父と子の確執 つながりで、美味しんぼ

タイトルが【アーナンディ】なのに、なぜか、いったん美味しんぼの話から。


パイ・レビュー書いてる途中に、「雄山・士郎親子の歴史的和解」のネットニュースをみて、ニュースになるんかい!と、改めて作品の偉大さに驚嘆しましたが、言わずとしれた国民的食マンガです。

ちなみに私は単行本第一巻出る前からのファンです。
(フランスの美食家をモツ煮込み屋につれてって生ハムもらう話。1ページまるまる使った山岡さんのどアップでハマった。だから花咲氏の絵はもっともっと評価されていいと思う。)

つーわけで、アンチではありません。けど、ファンだけど信者ではないので、なんだかなーと首をかしげる部分もちょっとはあります。
食品業界系の圧力とか、政治的スタンスに対するアンチとか、原作者の雁屋氏は大問題をいくつも抱えていらっしゃるらしいので、バッシングに荷担する気は全然ないんですけど……

けどねぇ、海原雄山てあれ毒親じゃね? 
少なくとも初期は。
雄山初登場時は、息子をクビにしろって職場に圧力をかけに行ってんですよ?
十代の多感な時期の息子に「死ね死ね死んでしまえ」ってのも口げんかのレベルを超えてるし、目的通り息子が失業したら、その後どうするつもりだったんだろう? もいっぺん美食倶楽部の一番下っ端にしてこき使うつもりだったんだろうか? たいして深い考えもなく「ざまぁみろ、いい気味だ、思い知ったか、親に逆らった罰だ」とか罵ってやりたかったんだろうか? それってもう、偉大な陶芸家とかじゃなくて、ただの人間のクズですわ。


連載初期(単行本が数冊出て、世間が美味しんぼに注目しだしたころ)、インタビューか対談かで、雁屋氏が「山岡士郎はやがては父を乗り越え和解しなければならない」みたいなことを語っていて、え!? そんな予定調和になってんの? って鼻白んだ覚えがある。そんな予定ならもっと父親の描き方を配慮してほしいわ〜

実際問題、ガチの毒親に苦しんでる人達の掲示板へのカキコを見ると、親が一人立ちを許さず(親はもちろん、第三者がアパートの連帯保証人になるのをさえ妨害)、雄山のように職場にまで裏で手を回して圧力をかける、親が率先して「あの子はどうしようもない子で」「虚言癖があって」などとでたらめを言い触らして、まともな人間関係を築けないように画策する。
ヴィスコンティの『地獄に堕ちた勇者ども』の毒母ソフィがそれやってました)
毒親との同居を余儀なくされ、「甘ったれのニート」の汚名を着せられているケースだってある。子供を親のための道具、親にとって役に立つかどうか、という観点でしかみないから、子供の希望(進路とか)を聞いても「そんなことのために育てたんじゃ無い」って臆面もなく却下する。子の「使い道」を最初から決めてるんですね。

まさか親がそんなひどいことを? って心底びっくりできる人は幸せです。親だったらそんなことはしない。毒親はする。そういうことです。

山岡士郎の場合、ぐーたらとか言いつつ、人もうらやむ大新聞社に正社員として入社できるスペックで、人格者の上司に恵まれ、雄山がちょっかい出しても、クビになったり、社内で悪い噂が立つこともなく、特殊能力を見込まれて順風満帆。
そこまでの幸運に恵まれないと毒親には勝てないわけですよ。
毒親の圧力で失業した場合でも「親のせいにしちゃいけない」とか「本人の努力不足」「子が成長して親を乗り越えさえすれば和解してハッピーエンド」とか???
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んで、ヒロインの栗田嬢がせっせと「海原雄山じつはイイ人説」を主張するし、栗田家の皆様もヒトんちの事情もろくに知らない段階で和解しろ〜和解しろ〜ってうるせーし。雄山が士郎を失業させようとした件を目の当たりにしていながら、栗田嬢が「実はイイ人説」を主張し続ける意味がわからん。グータラ息子にはっぱかけようと親心で挑発した、なんて三文芝居的な解釈なのか?
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もっとも、栗田嬢の場合、グルメ修行もしていないのに水と豆腐の識別ができる特殊能力の選ばれたヒロインだし、そういう娘を育てたご両親も、凡人には見抜けないものを見抜く力のある特別な人々って設定なんでしょうな。
(信者じゃ無いけどファンなのでこのくらいの斟酌はする)
それに、争いの当事者の片方だけの言い分を鵜呑みにして「雄山ひど〜い!みんなでやっつけちゃえ〜〜!」などと口走る軽率な娘さんだったらヒロインには抜擢されますまい。

まあ、早い話、なにが言いたいかっていうと、雁屋氏の親子の確執の描き方ってザツだなって。
フクシマの現状も大大大問題ですけど、ずる賢く外面のいい毒親ってのは、単純に暴力を振るう親よりもっと猛毒で遅効性の毒なんです。それこそ放射性廃棄物や発ガン性のある食品添加物みたいに。
大問題フクシマと抱き合わせで、歴史的和解を描いたのは、初期の頃の雑な設定をうやむやにするためかしら? などというのはアンチ寄りの発想かな。すいません。
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ただ、現実の社会で、今後ますます毒親問題は深刻になると思います。子供が努力して乗り越えればOKってもんじゃありませんわ。
少子化対策とかで、社会が有形無形の圧力をかけて、子供を作ることを強要し続けているから。
結婚したくないのに割れ鍋に閉じ蓋で結婚させられた。愛して育てる覚悟もないのに社会的義務として子供を作らせられたって、愛情のない親が増えていく可能性が高い。高齢化社会を支えるために子供を増産しろって、御国が最初っから子供の使い道を決めてますからね。
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責任無き権力と愛情無き子育ては同じところに行き着くと思います。
大人が子供を食う世界です。ミニョネット号のクソ船長みたいに。
グリム童話ヘンゼルとグレーテルでも、親子共倒れを防ぐためって子供を森に捨てにいきました。21世紀なのに中世に逆戻りとは情けない。
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.で、大〜〜〜きく、迂回しましたが、アン・リー監督の場合、親子の確執の描きかたに隙がないなって。
サントッシュは理想的な父親だし、それでいて、パイがサントッシュに反発するのも無理はないと思えるようなキッチリ仕上がった脚本。
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決め手はアーナンディです。
パイがアーナンディをどんだけ一生懸命好きだったか、初恋を丁寧に丁寧に描くことで、「もう父さんも母さんも大嫌いだ」って心情を無理無く作り出しています。
父親から見たらパイは末っ子でまだまだ子供で、アーナンディと引き裂かれて悲嘆にくれている様子も、小学生が「転校すると仲良しの○○ちゃんと遊べなくなる」ってベソかいてるぐらいの受け止めかただったんじゃないかなー。
でもパイにしたら生涯の伴侶とめぐりあって彼女も僕を好きになってくれた。なのに、両親が引き裂いた。って感じで、配偶者と死に別れたくらいのダメージ。少なくとも本人はそう思っていた。
「アーナンディと私は胸が張り裂けそうだった」というナレーションのように、パイにとっては自分史上初の耐えがたい痛みだったと思います。
虎が挨拶もなく去っていって心が破れた痛みを体験するまでは。
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だから、初恋のシーンは絶対いるんですよ。心ない人が未だに、前半はもっとカットできた、無駄に長い とか言ってるけど。いるんです! 全部!
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この夏あたり「ライフ・オブ・パイ」地上波初登場!ってなる気がしますが、どんな無惨な虫食い状態で放送されるのか、今から気が滅入ります。
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どこの局が放映権握ってんのか知らないけど、担当者が単純に、少年と虎の冒険物語だと勘違いしてたら、時計のシーンも階段を上るシーンもみんなカットされてしまうよな。「雷を見に行こう」からいきなりドアを開けて暴風雨。嵐の神よ〜ってはしゃぐシーンもカット。流される作業員をみて船室に引き返すシーンに直結、とか…あ〜ぁ
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この映画には、無駄なシーンなんてただのひとコマもないんだってば。ノーカット完全版じゃないと意味ないぞ〜
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んで、できれば声優陣のリベンジを期待したいところだ。
既存の吹き替え版では、「英語のセリフを注意深く聞き取って、声に乗せた感情を再現してほしい」というアン・リー監督からのアドバイスを忠実に実行した本木さんの一人勝ち状態ですが、その本木さんだって、アン・リー監督からの直々の演技指導は受けていないはず。
そういうシカケがある作品だってわかっていたら、もっとほかに演じようがあったのにって役者魂に火がついたりしませんかね。つかないか。
サントッシュを吹き替えた声優さんは、たぶん真面目な人で、原作を熟読して役作りに臨んだんじゃないかと思うのですが、でも映画の父さんは、コミックリリーフみたいな心配性のトホホの父さんじゃないんです。
アディル・フセイン氏のスクリーン上の出番は前半36分ぐらいで終了なんですけれど、目には見えなくても最後の最後まで、父はパイとともにいるんです。
そういう前代未聞の映画。
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映画関係者でもルーチン・ワーカーにとっては、めんどくせぇ作品に当たっちまったなーって我が身の不運を嘆く心境なんでしょうか。
百年に一度の作品にリアルタイムに出会って「オラ、ワクワクしてきたぞ♪」って大歓迎する人はひとりもいないの?
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その答えは地上波放映でわかるだろうけど。
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答えといえば、番組で視聴者プレゼントクイズとかやるなら、できれば、「パイが船室を出たとき、時計の針は何時何分を指していたでしょう?」とか気の利いた問題にしてほしいわね。
海亀のスープのレシピなんてイラネ
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つぅぅぅぅづぅぅぅぅくぅぅぅぅぅぅ
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もうクタクタなんだけど まだーつーづーくーーーー泣
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書いても書いても終ーわーらーなーいー
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眠くてクタクタなので、今の自分はちょっとばかし、くっそ〜アン・リーめぇぇぇ、山羊か、めん〜どくせぇ映画つくりやがってシクシクメソメソ 、眠い、眠すぎる、嗚呼、あの人を、あの人を恨みます的な、演歌か、数行前はあんな御立派なこと言ってたくせに、だめな自分だ
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でもひと眠りして体力気力回復したら「オラ、ワクワクしてきたぞ」のモードに戻ります

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