ライフ・オブ・パイ専用ザク格納庫

映画ライフオブパイの超長編ネタバレ/その他映画のレビュー/あと気がむいたときに羽生くんを応援

ライフ・オブ・パイ

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●オープニング・テンプレ●●●●●●●●●●●●●●●●●●
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このブログは映画『ライフ・オブ・パイ』の、激ネタバレ レビューです。
映画をまだ観ていない方はご遠慮ください。
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すでに作品を鑑賞済みの方は、
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↓スタート
2013年10月30日→http://d.hatena.ne.jp/chap-chap3/20131030
2013年10月31日→http://d.hatena.ne.jp/chap-chap3/20131031
2013年11月01日→http://d.hatena.ne.jp/chap-chap3/20131101
2014年01月25日→http://d.hatena.ne.jp/chap-chap3/20140125

…以下、カレンダーか記事の一覧から
2014年4月〜 の順にお進みください。.
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前回に続き、たこすけちん様のコメント(下記)への回答です。
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投稿者:たこすけちん様 2014/09/03 18:19
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>映像を見直すと救命ボートに配膳係がいるんですよね。
落ちるときに消えますが。
でも船員はボートに乗らずに船の上から叫んでるんですよね。
こういった事が何の証拠にもならない気もするんですが、
最初にすれ違ったシマウマは兄で、ハイエナは配膳係なのかと思いました。お父さんは船で死亡で、お母さんはオラーウータン。

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それだとなんとなく辻褄が合うんです、私的には。
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【嵐の甲板で】
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緊急事態なのでめまぐるしい場面です。映画館では一時停止やスロー再生できませんから、なんか変だな? と思ってもじっくり考える間もなく、どんどん進んでいきます。
それに多くの観客は、漂流してからが本題だと思って観るわけで(もちろん1回目は私もそうでした)、沈没のシーンを度外視しがちです。
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再三ですが、「マニラを出て4日め…」以降はパイの創作なので、矛盾した変な描写が多用されているんです。意図的に。
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あら探し目線ではなくて、アン・リー監督が作った「間違い探しクイズ」を楽しむような気持ちでじっくり観ると…、
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パイは、「家族がまだ船内にいる! 助けて!」と船員に救助を訴えて、ライフジャケットを着せられても救命ボートに乗るのを拒否します。家族を見捨てて自分だけ逃げるわけにはいかない。
当初、救命ボートを降ろそうと作業しているのは3人。
コックと、食堂で親切にしてくれた船員さんと、ひげ五分刈りの船員。
パイの訴えを聞いて、コック以外の二人は甲板にもどる。親切船員が「家族は僕らが助けるから君はボートに乗れ!」→突き落とされるようにパイはボートへ。
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ところが!(こっからが変なのよ)
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船尾のコックが
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「ボートをおろせ!」と叫ぶと、パイは素直に従って船首の滑車を操作するんですよね。コックとパイしか乗り込んでないのにボートはどんどん降下していきます。
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甲板の船員(ひげ五分刈り)が、
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「おい!なにやってんだ!」と咎めても、自分さえ助かればイイみたいに、コックは滑車を操作する手を休めない。
ずいぶんと身勝手に見えます。
船首側のパイもまた、ボートをおろす作業を続けるんですけど、
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おかしくないですかコレ?
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まだ家族が取り残されているんだから、「ボートを降ろすのを待って!!」 とコックを妨害するのが自然な流れだと思うんです。パイがコックに協力しなければ、ボートは縦にぶら下がる形になって、着水を阻むことができるのに。
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で、コックは他を省みず自分だけ助かりたいのかと思いきや、
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「飛べ!」と上方に叫ぶ。
甲板の船員達に言ったんでしょうか?
呼びかけに答えるように飛び降りてきたのはシマウマです。
んで、シマウマは骨折。衝撃でコックはボートから落ちて退場。
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結論から言えば、ボートを降ろそうとしたのはサントッシュです。
スクリーンに映し出される『パイの創作=虎の話=劇中劇』に覆い隠された真実。
父の命令だからパイは不承不承従ったんです。
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パイが船室から甲板にでるまで、少なくとも1フロア〜2フロア分は階段を登ってます。救命ボートがある甲板が1Fだとすれば船室はB1かB2、あるいはもっと下です。
サントッシュは脚にハンデを抱えているので、パイのように階段を駆けあがったり駆け降りたりできません。避難勧告がでるまで船室で待機してたら確実に逃げ遅れます。だからこそ先手先手をとって行動する。
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日本では(現実世界の話)、この夏も河川の氾濫とか土砂災害の悲劇が数多く報道されましたけど、緊急避難が難しい御高齢の方とかは、雨が降り出す前に早めに公民館とかに避難してましたよね。
取り越し苦労だったとしても手遅れになるよりはマシ。

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パテル家の4人は、いち早く甲板に出ていたんです。サントッシュの性格からして、真っ先に愛妻ジータをボートに乗せる。サントッシュも身軽にボートに飛び移るのは難しいので、夫婦で助けあって乗り込む。パイがそれに続いて、父と二人でボートを降ろし始める。
勝手にボートを降ろそうとするのを船員に止められたとしても、サントッシュにしてみれば、悪天候の危険を軽視した船側の都合なんか知ったことか! 自分は家族を守るんだ! という心境だったと思います。
パイの目には、そんな父の態度が身勝手に見えた。父さんのやったことは間違っている、と当時のパイが感じた部分は悪役コックに置き換えられているんです。
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で、シマウマ=ラヴィが遅れた理由ですが、推察するに、ラヴィは父の指示で、船倉に動物を連れ出しに行ったんじゃないかと思うんです。
サントッシュにとって動物達は財産です。緊急避難するときでも、できれば貴重品(財布とか宝飾類とか)は携えて逃げたいのは人の常。
一緒にボートに乗せられそうな、小型で無害で、できるだけ高値で売れそうなやつ、羽の綺麗な鳥類とか希少性の高い草食動物、1羽でも1匹でも。
でも、うまくいかず、ラヴィは手ぶらで甲板にあがってくる。
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トラがボートに乗り込んでくる設定につなげるため、誰かが動物達を解き放った、として、画面には逃げまどう動物達が登場しますけど、いくら動物達がかわいそうでも、猛獣の檻は開けませんでしょ。ラヴィであれ誰であれ。
大部分の動物は、映像と違って船とともに沈んだはず。甲板や海中に出ることもなく。

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父の指示のせいで乗り遅れたのに、父はラヴィを待たずにボートを降下させた。
飛び降り→骨折→脚切断→死亡 となるわけで、父に反感を持っていたパイにしてみれば、「ラヴィが死んだのは父さんのせいだ!」と言いたくなるのも無理もないことかもしれません。
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【真相1】(本ブログ 2014/01/25)で書いたように、救命ボートには初めからパテル家の4人が乗っていたんです。
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(ヒント集3本:2013/10/30〜11/01 未読の人はちゃんとよんでね〜 長文で面倒でしょうけど、後々説明しやすいように大事なことをあらかじめ書いておいたんですから。
【真相】からいきなり読み出すと、映画を無視した個人的妄想みたいで、わけわからんでしょ(笑)
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伏線としての“変なシーン”はまだまだあります。
あら探し屋は、作品を嘲笑するのが目的なので、1〜2カ所変なシーンを見つけただけで満足して、それ以上 頭を働かそうとしません。
作品否定のためではなく、手がかりを探す気持ちで冷静に精査すれば、変なシーンは次々と見つかります。
これだけ沢山ちりばめてあれば、うっかりミスなんかじゃないんですよ。
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つづく
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