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JW2炎の王国→『地獄に墜ちた勇者ども』

【貴族の食卓】
 
『JW2 炎の王国』のオープニングのロゴと『地獄…』のイントロがリンクしています。

『地獄に墜ちた勇者ども』はドイツの鉄鋼財閥エッセンべック男爵家が舞台。

鉄鋼財閥ってことで映画の幕開けはどろどろに溶けた溶鉱炉の映像、それが冷えて 鍛えられ、貴族の食卓を飾る美しい銀器、白磁、ガラス器に変貌を遂げる。
今日は当主ヨアヒム・エッセンベック男爵の誕生祝い。会食の準備で使用人達はあわただしい。というところから始まる。 
 
十九世のイギリスの批評家マシュー・アーノルドによれば、
貴族は「バーバリアン」、大衆は「ポピュレス」、資本家や商人を「フィリスティン(古代パレスティナ人の意。善悪度外視で利益のみを追及し死の商人となった。蔑称として「俗物」。) 」
西洋における貴族とは、もともとは剣をふるい血を流してでも欲しいものを手に入れてきた、そういう種族から生き残った流れ。時代が下って、流血沙汰にもつれるのを避けて、華美な衣服や経済力で下位のものとの差をしめすようになる。

『山猫』では、バーバリアンの面影が鳴りをひそめ、欲望の強さより、謹み深さが上品で貴族的な態度となってしまった。

そこんとこをおさらいするように、『地獄に墜ちた勇者ども』では灼熱のマグマが冷却のときを経て貴族的な美しい価値あるものに変貌するさまが冒頭でえがかれる。

『JW2 炎の王国』の「炎」は単に火山の噴火という自然現象だけではなくて、「 欲望」を意味する。 地球の中の、熱、力、それらがすべて冷えて固まったときは、地球は何も産み出さない死の星になる。
火山の噴火という自然現象だけを近視眼的に見れば、命を奪う厄災に映るが、地球誕生以来のスケールでとらえると、命の源と言えよう。

ヴィスコンティは『地獄に墜ちた勇者ども』の冒頭で、煮えたぎる欲望のエネルギーが-、冷えて固まる年月も待たずに、鍛えられ磨かれることもなく、コントロールを失って世界に溢れだした結果を示唆している。

ジュラシックワールド2 炎の王国』では、欲望につき動かされ、制御不能で外に暴れ出した炎の産物が、これからどうなるのかな、というところで「続く」となるのですよ。

だから、恐竜とは遠く離れてしまうけれど、『地獄に墜ちた勇者ども』に言及します。

おのれ~バヨナめぇぇぇよくもこんなめんどくさい謎解きだらけの映画をベースにしやがつて私になんか怨みでもあるのか~~~


JW2がちっとも終わらないので、パイレビューの続きに取りかかれない、ごめんよ、レイフ・スポール。ミルズは憎たらしかった。化けるタイプの役者さんだったのね~

マシュー・アーノルド云々はこの本から

イギリス人の表と裏 (NHKブックス)

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続く